我が家には、母・祖母・義母からもらった着物や帯がたくさんあります。
寄付していただいたものも合わせて、その数200以上。私にとってはそのすべてが大切で、一つ一つに愛着があります。
大事な着物や帯すべてにスポットライトが当たるように、日々着まわしているんです。着付け教室では無料で貸し出しもしています。
そんな中・・・
- 「教室の先生なんだから、もっと格式の高い着物を着た方がいいですよ」
- 「ポリエステルの着物は先生としてどうなの?」
といった辛ーいご意見をいただきました。
他にも、「着物にカラコンとかピアスは不良みたいなのでやめてほしい」とか、「簡単な着付け方法を教えるな」という声まで・・・。
まぁ、言ってしまえば、着物警察です。
着物警察とは
簡単に言ってしまえば、着物や着付けについて不躾に意見する人のこと。
夏には「浴衣警察」と言われたり・・・。「お直しババア」と皮肉たっぷりの固有名詞があるくらい問題になっています。
着物警察の対策や、撃退法の相談を受けることもしばしば。
- 「いきなり襟や袖を引っ張って呼び止められ、“裄が足りてない、だらしがないねえ”と説教をされた」
- 「化粧室で突然、背後に回られたかと思ったら帯の形を整えられた。それだけならまだしも、去り際に“キチンとしなさいよ、みっともない!”と言われた」
など、最近問題になっています。https://www.jprime.jp/articles/-/11899(「着物警察」のせいで和装離れが加速、街中での警笛はもはやパワハラの域 週刊女性2018年3月27日号2018/3/16)
着物警察はたいてい、着物に精通している人や、着物に詳しい人です。今回は一部で問題視されている着物警察についての意見を述べたいと思います。
すなお
この記事のねらい
- 着物初心者さんに「着物警察の意見」を伝えたい
- 着物警察に遭遇した人に「気にしないで」と伝えたい
- わたしの着物に対する考えを伝えたい
すなお
もくじ
まずは着物警察の気持ちを代弁したい
着物警察を問題視していますが、決して、100%嫌い!というわけではありません。
何ですかね・・・良くも悪くも着物に情熱があるので、着物文化を残していくために必要な方々だと思っています。
おそらくですが、
- 日本文化を誇りに想うからこそ間違った日本文化を正したい
- 着物の正しい知識を知らない人に教えてあげたい
この2点が色々言ってしまう理由だと思うんですよね。
この気持ちにはとてもとても共感します。
相手への伝え方はさておき、着物への愛着があるからこそ生まれる行動のはず。「嫌われ者になってでも伝えてあげたい」と思っている心根が良い人かもしれない。まずは、それを着物警察が苦手な人にも分かって欲しいんです。
ちょっと嫌味だと思える発言も一度は飲み込んでしっかり聞いてみて欲しい。ちょっと口出しされただけで、すぐに着物警察認定しないでください。
自己主張や押し付けもあるだろうけど、その人はきっと着物が好きで、こだわりを持って着物と付き合っている。その気持ちは認めてあげてほしいのです。
「あら、あなたこんなことも知らないの?」とマウントを取るような、嫌味100%の明らかな着物警察は、さっさとフェードアウトしましょう。関わるだけで損します。
着物業界は若い世代が主役になるべき
着物にはオススメの着方あるけど、その着方に正解はありません。正しいとか、間違いとかそんなものは厳密にはないのです。
着物は、時代ごとに正装も変わっていますし、今まで間違いと言われてきた着付け方が、時を経て大人気になり、また消えていく。
- 現代の喪服は黒ですが、かつては白が常識だった。
- 今はお太鼓結びが主流ですが、1800年代までお太鼓結びはなかった。
- 羽織りはもともと男性のもので女性が着はじめたのは男装がきっかけ。
など
数学における「解」のような1つの正解があるわけではない。正解を無理やり考えるならば、「着ている本人が気に入っているかどうか」がポイントでしょう。
そもそも着物は、日本文化であるのと同時にファッションです。
なんて言われたら、失礼極まりないと思いませんか?
それなのに、着物に関してだけは「おばさんには今の流行なんて分からないでしょ!」と開き直ることができないのです!
「友だちの間で流行ってる」とか「テレビで見た」とか「今人気なんだよ!」といった反抗があって当たり前なのに、若い世代間での団結力?と言うのでしょうか、そういったものが形成されないのが、現代着物文化の悪いところだと思っています。
そもそも、着物業界って年配の人が幅きかせすぎなんですよ。
もちろん、年配の方に着物を着るなと言いたいわけじゃなくて、着物を着る主役を私よりもずっと若い世代に譲って欲しいんです。10代の若者が着物の流行を作るようなカタチが最高だと思っています。
再度申し上げますが、着物はファッションです。時代と共に、移り変わりがあって当たり前。色々試してみて、「これかわいい!」、「美しい・・・」と感じながら楽しんでほしい。
- 「これを着たら笑われるかな?」
- 「着付けに自信がないから、着るのはやめよう」
このように、着物警察のせいで若い芽が摘まれてしまうのは本当に残念でなりません。
着物警察の自覚がある人に伝えたいこと
着物初心者さん(特に若い子)に指摘するときは優しくしてほしいです。そして、考えを押し付けるのではなく、まずは相手の考えや理由を聞いてみてください。
- 明らかに非効率な着方も、好んでやっているかもしれない。
- アンマッチなコーディネートであっても、本人はオシャレだと思っているかもしれない。
- 格式、マナー、ルールを知らないかもしれない。
この3点、気を付けてくださいね。
その分、本人が悩んでいる場合や、意見を求めてきた時は徹底的に教えてあげましょう。
私すなおの着付けテクニック記事は全て、読者さまやフォロワー様の「着付けの悩み」をベースにしているのも、この考えからきています。
現代にマッチするこれからの着物の楽しみかた
洋服や現代文化との共存
着物の立ち位置は、歴史や世間体がかなりややこしくしていますが、私の認識はシンプルに「好きな服の種類」ぐらいで考えています。
ワンピース、パーカー、コートみたいな服のジャンルに「着物」が参入できると良いですね。洋服とミックスするもの良いのではないでしょうか。
歴史上の衣服になって衰退するより、ファッションとして進化しながら継承されるほうが全然いい。
リサイクル・レンタルが当たり前。とにかく安く手に入る環境に
若い方々に着物を楽しんでもらうためには、品質が悪くても、中古でも何でもいいので、安い金額で流通しなければいけません。
これに関しては、ここ数年で変化を感じています。
- メルカリ、ヤフオクなどの消費者同士の売買アプリ
- ポリエステル製の安い着物が人気に
- 着物買取企業の活発化
「着物は呉服屋さんで誂えるもの」という常識はすでに終わり、スマホで気軽に素敵な着物を上手に買う時代になってきています。
お金をかけずに着付けを学べる環境に
これから着物を始める方はラッキーです。なぜなら、簡単な着付けであればネットで簡単に学べるから笑
わたくしの着付け教室でも「基本的な着付けはyoutubeを見て独学で学んだ」という方がかなり増えています。
お金を掛けずに着物を楽しめる仕組みは素晴らしいですね。
すなおの想い
せっかく着物に興味を持った人が着物警察のせいで嫌いになるなんてもったいない、悲しすぎる。
着物に精通している人の意見は、当たりが強いことも多く、それに傷ついたり、自分に自信が無くなったり、着物を嫌いになったり。想像するだけで悲しい。
着物は、もっと自由でいいはず。なので、「着物はこうあるべき」という考えを押し付けるのではなくて、新しい着方もどんどん許容して欲しいし、自身もチャレンジして欲しいです。
私は、どんな批判を浴びても、着たい着物を着る自分を誇らしく思います。着物の質・格・TPOに固執するよりも自分自身が着たい着物を着るべきだと考えています。
人によって価値基準はざまざま。自分の感覚を一番尊重してあげてくださいね。
PS)当ブログの読者に向けて
すなおは「着物を着たい!」「着物が好き!」というあなたを全力で応援。
若い方も、同世代の方も、先輩の方も、着物警察さんも(笑)、皆さんと一緒にキモノ業界を盛り上げていきたいと思っています。
私ができることは、着付けの悩みを解消したり、着物についての疑問を解決したり…と、現段階ではそれぐらいしかありませんが、最終的には「着物業界を盛り上げること」が目的です。
- 着物が好きな方同士の交流の輪を広げる
- 着物に興味があるけど行動に踏み切れていない方の背中を押す
- 着物業界の悪いイメージの払拭(押し売りや着物警察など)
など、とやりたいことは沢山あります。
その第一歩として、最も着物ユーザーと深く交流ができるTwitterやinstagramなどのSNSを始め、ブログによる情報発信ができるまでになりました!
読者の皆様と一緒に成長しながら、着物業界発展に少しでも貢献していけたらと考えていますので、今後もよろしくね♪